(C) BASQUE FILMS, MR MIYAGI FILMS, PLATAFORMA LA PELICULA AIE
SFシチュエーション・スリラー映画 「プラットフォーム」
何の気なしにAmazon primeで見た映画なのですが、内容がかなりショッキングでした!
今回は、 「プラットフォーム」 の感想とラストについての考察をしていきたいと思います。
ネタバレする内容になっていますので、ご了承の上ご覧ください。
あらすじと概要
序盤
主人公のゴレンは、目覚めると”穴”と呼ばれる空間にいる。
”穴”と呼ばれる空間は、正方形の部屋の中央に穴が開いていて、のぞくと上下に同じ空間が続いている。
部屋にはベッドと水道だけがある無機質な空間。
48と書かれたゴレンのいる部屋には、1人の老人トリマガシがいて、どうやら”穴”の謎を知っている様子。
トリマガシから聞いた”穴”のルールは次の通り
・料理は必ず上から下へと降りていく 下の階は上の階の残飯を食べるしかない
・部屋に書かれた数字は階数で一番上が0番
・食事は取っておけない。取っておくと部屋の温度が死ぬほど熱くor寒くなる
・月に1度眠らされ、ランダムで部屋が移動させられる
一定の時間になると、上の部屋から穴と同じ大きさの四角い台(プラットフォーム)に残飯が乗った状態で降りてくる。
そこでトリマガシはむさぼるように残飯を食べ散らかしている。
次の月には下の階になる可能性があり、下の階に行けば残飯すらも食べられない状況になってしまうためだ。
48階はまだ食事にありつける比較的恵まれた階のようだ。
”穴”に入る際、1つだけ自分の好きなものを持ち込むことができる。
ゴレンはドン・キホーテの小説、トリマガシは”サムライ・プラス”という切れ味が落ちない包丁を持っていた。
月日を共にするうちに仲良くなった2人は、月末の夜、上の階に行けるように願いながらガスを吸わされて眠ってしまう。。。
中盤
朝起きるとゴレンはベッドに縛り付けられている。
171階になってしまったため、先に起きたトリマガシによって動けなくされていた。
171階では残飯は残っておらず、1ヵ月間食事をすることができない。
トリマガシは、気の毒だがゴレンの肉を少しずつ剥ぎとり食べようとしているのだった!
171階で8日が過ぎ、空腹に耐えられなくなったトリマガシはゴレンの足の肉を食べようとする。
そこへ、子供を探していると言って定期的に上の階から降りてくるミハルという女性が現れ、トリマガシを襲撃。
結果、トリマガシは死に、死んだトリマガシの肉や死体に群がる虫を食べてゴレンは生き残るのだった。
続いて目が覚めると33階。
そこにはイモギアというダックスフントを持ち込んだ女性がいた。
女性は”穴”の元管理官で”穴”の環境を変えるべく自ら参加していた。
イモギアは全員が一定量を食べて下に回せば全員が助かると考えていて、下の階の人にもそうするように説得をするが、一切聞き入れてもらいない。
唯一、ゴレンが下の階の人を脅した時だけは言うことを聞いてくれたのだった。
ある日、風を引いたミハルが上の階から降りてきて看病することになる。
回復したミハルはイモギアのダックスフントを殺してしまう。
イモギアは、ミハルは一人で参加していて子供などおらず、ただの殺し屋だと教えてくれるのだった。
終盤
次に目が覚めると202階に。
そして、イモギアの自殺した死体があった。
イモギアは末期がんを患っており、自身の肉を食べてゴレンを生かそうとする無言のメッセージだった。
ゴレンはドン・キホーテの本をちぎりながら食べ、なんとか生きながらえて1ヵ月を過ごすことができた。
次に目が覚めると6階。
そこにはバハラトという男がいた。
裕福な食事にありつけていた2人だが、ゴレンはイモギアの考えを実行するべくプラットフォームに乗っかり、各階の人に分配をすることにする。
バハラトも協力し、2人はプラットフォームで下へと向かう。
途中、バハラトが賢者と敬う方から「手つかずな状態の食べ物を0階に送ることが上層部へのメッセージになる」と言われパンナコッタだけは分配せずに守り抜くことにする。
最終的に333階(最下層)に到着。誰もいない階のように見えたが、そこには子供が。
穴は16歳以下は入れないようになっていたのだが。
そこで、子供を0階へ送ることが真のメッセージと考え、取っておいたパンナコッタを子供にあげ、子供をプラットフォームに乗せて0階へと送るのだった。
感想
率直な感想としては、とにかくグロい!
死んだトリマガシの肉を食するシーンに至ってはモザイク処理される程です。
それから、穴の中はまさに現代の資本主義社会そのものだと感じました。
333階もある穴の中で満足に食事ができるのはごくわずかな人だけ。
その他の下層に住むものは目の前の生活もままならない状態となってしまっています。
現実世界でも超富裕層と呼ばれる1%の人々が、世界全体の37%以上の資産を保有していて、下位50%の富の合計は全世界の2%しかありません。
そんな社会風刺になっている映画だと思います。
また、映画内ではサムライプラスや日本刀が登場します。
それらの武器は殺人に使われており、日本社会がヨーロッパに与える影響が描かれているのかもと感じました。(プラットフォームはスペイン映画です。)
また、穴の階は333、そこに住む住人は333×2の666。
ヨハネの黙示録で獣の数字とされる666と重要な数字とされる3が使われているのは偶然ではないでしょう。劇中にはヨハネによる福音書の一節も引用されています。
それに、食事のシーンではリンゴが多く登場します。
禁断の果実であるリンゴからも聖書の存在を感じますね。
ゴレンは”穴”にドン・キホーテの小説を持っていきますが、主人公のゴレン自身が意識朦朧として幻想を見るシーンが多く登場します。
ドン・キホーテの作品とも相通ずる部分があり、まるでゴレンがドン・キホーテかのようです。
あらゆるシーンに深堀できる要素を含んだ映画になっていて、とても深みを感じました。
ラストシーンの考察
映画はプラットフォームに乗った子供のカットで終わります。
見ていて少し消化不良感がありましたが、むしろ考察を楽しめる演出だとも感じました。
”穴”の世界では全ての階に平等に食料を配ることが理想とされていますが、そのためには最上階の人間の意識(ルール)を変える必要があります。
最上階(0階)で料理を作る者たちは、最高の味・最高の出来栄えを求めて努力を怠りません。
つまり、最上階の人々も善意しかないのです。
しかし、その善意は上位階の人間にしか伝わらず、本当に必要な努力なのかは疑問です。
全員が幸せになるには、多少クオリティは落ちてもたくさんの料理を準備し、全員に配布できるルールが必要なはず。
子供に全ての希望を込めて最上階へ送りこのシステムを変えてほしい。
苦しみを知った未来ある子供が世界を変えてほしいというメッセージなんだと感じました。
最後に
グロくて見るのが辛くなる部分が多いですが、それも含め現代社会のリアルを描いた作品なのかも知れません。
分配しようと考えられるのはとても良いことのように思えますが、その発想ができること自体、自分の生活に余裕があるからこそで、きっと毎日飢えて生活が苦しければそんなことは考えられないのでしょう。
怖い映画ですが、多くのことを考えさせられるとても興味深い映画でした。
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